挑戦と無謀のあいだ
ってことを最近考えていた。仕事の話。
正直そこまで考えがまとまっていないんだけど、とりあえず、文章として残しておきたいので書いておく。
何か新しいことをしようとする。
ここで言う新しいことというのは、割と大きい話での新しいこと。
例えば、新しいプロジェクトに参画するとか、新しい部署に異動しての業務をするといった、仕事内容や職場環境が大きく変わる、そういうレベルの話。
そしてそれを、上からの命令ではなく、自分から希望した場合の話。
そのとき、その新しいことって、自分にとって「挑戦」になるのだろうか、それとも「無謀」になるのだろうか。
「挑戦」も「無謀」も何かに挑むときに使われる言葉だと思う。
「挑戦」はプラスの意味で使われ、「無謀」はマイナスの意味で使われる。
では、自分の経験のない、未知の仕事をするときに、それは「挑戦」なのだろうか、「無謀」なのだろうか。挑む前に事前に判断できるものなのだろうか。それを分ける境界ってあるんだろうか。そもそも「無謀」ってよくないことなのだろうか。
ってことを最近考えていた。
なぜそういうことを考えたか。
それは、直近の半年で自分が携わったプロジェクトにおいて、初めは「挑戦」のつもりで挑んだのだけど、途中から気持ちがついて行かず、精神的にきつくなってしまい、これが果たして「挑戦」だったのが、「無謀」だったのか、わからなくなってしまったからだ。
この内容についても、別記事で詳しく書こうと思ったんだけど、それはやめる。
(途中まで記事は書いていたんだけど、内容的に色々バレそうなので諦めました。)
ざっくりいってしまうと、私の専門とは全く畑違いで、且つ未経験な業務をすることになり、基本的なコミュニケーションが英語で、世界の複数拠点の人と同時に仕事をするような内容で、言ってしまえば、異業界に転職とか新人に戻って仕事するくらいの大きな変化があったわけだ。プロジェクト自体は、上司にヘルプを出して、プロジェクトの小区切りのタイミングで変えてもらい、今となっては終わった話なのだけど、控えめに言ってもかなりきつかったわけで。
なので、そういうこともあって、「挑戦」と「無謀」の境目ってなんだろうと考えてしまったわけなのだ。
ーーーーーーーーーー
まず「挑戦」と「無謀」を辞書で調べてみる。
定義はこうだ。
挑戦
1 戦いや試合をいどむこと。「挑戦に応じる」「世界チャンピオンに挑戦する」「挑戦状」
2 困難な物事や新しい記録などに立ち向かうこと。「世界記録に挑戦する」「エベレスト登頂に挑戦する」
無謀
結果に対する深い考えのないこと。また、そのさま。無茶。無鉄砲。「無謀な旅程」「無謀運転」
辞書的な意味から推測すると、「挑戦」と「無謀」の違いは、事を始める前に「結果」に対して事前に考えているかどうかの違いだろうかか。
じゃあ、「事を始める前に、結果を考える」とはどういうことなのだろうか。
何を考えるべきか。
それは少なくとも、「ゴールの定義」、「ゴールに至るための戦略」あたりだろうか。
その事を始めるにあたって、自分のとっての「ゴールは何か」を定める。そして、「どうやってゴールにたどり着くか」を決める。
ーーーーーーーーーー
「ゴールは何か」の話。
新しいことに挑む時の理由なんて人それぞれだ。
例えば、それをすることによって得られるスキルや知識を身に付けたいとか、周りから評価されたいとか。今いる環境が嫌だから環境を変えたくてという理由もあるだろう。
とはいえ、共通して言えるのは、「なんでそれをしたいの?」と「どうなっていたいの?」という事を明確にするという事だろう。
こういう問いかけをするのであろうか。
・それを行う事で、自分は何を目指しているのか。どういう状態になっているのか。
・ゴールに至った時の姿は、自分が本当に目指しているものと一致しているのか?
・挑もうとしている物事の、その先にあるものは何だろうか、何が待っているのだろうか?
つまりは、「目的」というキーワードになるだろうか。
あと、これは仕事についてのトピックなので、上についても仕事についての問いなのだが、仕事はあくまで人生の一部。そこで目指しているものって、自分の人生で大事にしている価値観と矛盾していないかとか。
次に、「どうやってゴールにたどり着くか」の話。
思いつく限り、こういう問いかけか。
・自分の武器は何で、新しいものに挑む際に何が活かせそうか?
・助けてくれる仲間はいるか、どういう形で助けてくれるか。
・感覚的にできそうかできなさそうか。明らかに現実的でないものに挑もうとしていないか。
・やる気を持続できそうな想いはあるか。
あと、「ゴールは何か」と「どうやってゴールにたどり着くか」以外に、もう一つ、「挑もうとしている領域」も判断材料だと思う。
つまり、それが自分の専門を突き詰めるようなものなのか、自分の可能性を新規開拓するようなものなのかというものだ。
そういったときに思い浮かぶキーワードが「選択と集中」だ。
選択と集中
選択と集中とは自社の得意とする事業分野を見極め、その事業分野に対して経営資源を集中的に投下することによって経営効率や業績を高め、競合他社との差別化を図る攻めの経営戦略です。
事業における「選択と集中」とは?メリット、成功・失敗事例をご紹介 | BizHint(ビズヒント)- 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア
本来はビジネスで使われる用語だが、個人においても通用する内容だと思うし、この方針で行くのが原則のように思っている。
つまりは、仕事で新しい事を始める際にも、基本的には自分の専門性を活かせる領域とすべきということだ。
もちろん、新たな専門性を切り開くために、新しい分野に挑むのも必要だ。だが、そこに自分のメインのパワーを割くような始め方は適切ではない。でないと失敗した時のリカバリが大変になってしまう。
あくまで「集中」するための「選択」であって、その選択肢を増やすために自分のメインのパワーを注いで「集中」できないというのは本末転倒というものだ。自分のメインのパワーは専門性を活かしたところで活かしつつ、余力のパワーで新規開拓すべきという事だ。
正直言って、選択肢を増やすために専門から逸れた事を仕事の中でするのは難しいと思う。それができるかどうかは、あくまで携わる仕事次第であって、つまりが運次第ってこと。だから基本的には仕事以外の場で開拓することになるんだろうか。
ーーーーーーーーーー
ここまで整理して、改めて上から眺めてみると、つまりは事前に「リスク管理」をしなさい、ということなのだろうか。
これから挑もうとしている対象について、ゴールを定めて、自分のことや周りの環境に対するプラスの事項とマイナスの事項を挙げて、それに対するリスクと対策を並べて、挑むかどうかを判断する。
いわゆるプロジェクトマネジメントの話だ。ビジネスの場では当然のようにやっていることだ。進行中のプロジェクトをマネジメントをするように、自分の仕事も自分自身のプロジェクトとしてマネジメントするってことだ。
「自分を自分1人のプロジェクトとしてマネジメントする」っていうキーワードは、割とよくあるフレーズだと思う。
そして冒頭に書いた、「無謀」ってよくないのだろうか、という問いに対してだが、自分としてはやはり良くないと思う。ここに書いた「リスク管理」をしていない以上、仮に「無謀」で始めて、結果的にゴールに至ったとしても、それはたまたま運が良かったからに過ぎない。非常にリスキーな選択であることには変わりがない。
結論としては、「挑戦」と「無謀」を分けるラインっていうのは、事前に「リスク」に対する備えをしているかどうか、ってことなのだろうか。
正直言って、あまり特別な事を発見したわけではないし、当たり前のことしか書いていない気がする。
特別でない当たり前のようなキーワード、知ってはいたけど、その意図を理解して行動していなかったということ。
それでも、ここまでつらつら書いたのは、やはり上のようなことを、経験として思い知らされたので、忘れないように書いておきたかったからだ。
あと、良い出来事も悪い出来事も、終わってしまえば「今となっては良い思い出」となってしまい、当時のきつかった思いが残らなくなってしまうと思ったから。辛いことはやっぱり辛いわけで、回避できるなら回避するに越したことはないわけで。「今となっては良い思い出」とかにしてしまって、かつての辛い経験をあとになってまた経験するのもやだなと思ったからだ。
自分自身の戒めの意味も込めて、新しい事を始めようと思った時には、これを読み返すようにしたい。