「諦める」ことを頑張る

 体調を崩して1ヶ月ちょっと仕事を休んでいた。

 いわゆるメンタルヘルス不調というやつだ。医師から適用障害(うつ状態)と診断され自宅療養を要するとされたのだ。

 原因はわかっている。仕事が原因だ。

 納期が厳しくチーム内外からの圧力に耐えられなくなってしまったのだ。土日も関係なく働き、毎日深夜まで仕事をする状態が数ヶ月続いていた。深夜関係なく電話が来たし、チャットでもメンションが飛んで来た。

 プロジェクト自体は2021年8月リリースのシステムなので、まだまだゴールは見えてこない状況。

 テレワーク環境というのもあり、みんなで一緒に乗り越えるという気持ちにもなれず、むしろ一人で孤独に終わりの見えない作業を続けていた感じだ。

 ちょうど先日職場復帰して、今のところは安定して働いている。当分は残業禁止で体を慣らしつつという状況だ。

 復帰先は私がこれまでいたプロジェクト、つまり、私が病んだ原因となったプロジェクトだ。

 未だプロジェクトは厳しい納期の中動いていて、私が療養していた期間も、私の穴を埋めつつなんとか前に進めていたようだ。本来ならこんな状況のプロジェクトに戻るという選択肢は無いはずなんだけど、私自身このままでは終われないという気持ちがあるのと、プロジェクトとしても人が足りず、プロジェクト経験者は引き止めたいという思いもありで、これまでのプロジェクトに戻って来たのだ。

 この一件で、良くも悪くも自分の限界を知ってしまったわけだ。

 当時の精神状態はやはり異常だったし、すごく辛かったのを覚えている。もう二度と当時のような思いはしたくない。

 そうならないために、限界が来た時に自分はどうなるのか、限界が来ないようにどうすれば良いのかまとめておく。

 自宅療養と診断される直前に記載したメモを書き起こしておく。これが自分の限界が来た時の症状だ。

・夜寝付けない。
・明け方4時くらいに目が覚めて、その後寝付けない。寝てるのか寝てないのかわからない状態が続く。
・就寝前後に仕事に関する課題や懸念が頭の中でグルグルと堂々巡りする。
・夢の中でも仕事をしている。
・四六時中、常に仕事のことで頭がいっぱいになっている。
・日中帯は不安感や動悸に襲われている。
・朝〜夕方くらいまではPCに向かっても集中できない。夜になってようやくといった状態。
・朝と昼の食欲がない。食べないと体が持たないという理由で夜は食べるが、深夜時間帯なので。コンビニ飯となり。栄養が偏り太る。(実際に太った)
・休日は無気力になってベットから出られない。家事に手が回らなくなり、洗濯するのがやっと。
・運動(筋トレやランニング)もする気になれない。
・アルコールの頻度が上がった
・ため息が増えた。
・倦怠感、頭痛(頭が思い感覚)、腰が痛い
・不安感や動悸で何も考えられなくなり、仕事が手につかない。
・肌荒れがひどい

 今読み返してみると地獄だ。完全に病んでる。

 メンタル的に落ち着いた今だから冷静にそう思うけど、当時は「なんとか乗り越えられるかも」、「乗り越えた経験が今後のプラスになる」という気持ちにすがって、ずるずると辛い状況が続いていたんだよな。

 本当に人間らしい生活ではなかった。健康的で文化的な生活とは程遠い状態だった。

 精神科の医師に診察してもらい、すぐさま自宅療養の診断が下ったのだけど、やっぱり相当酷かったんだよな。

 今後はこういう症状が出たらアウトだということを覚えておこう。

 で、あとはこうならないために、限界にならないように、自分は何を心がけるべきなのか。

 「あの時、ああしていればよかった」「こう考えていけばよかったとか」個々の場面で改善できるところはあるんだけど、もっと大枠な心得として大事なことが2つあると思った。

 それは、
   ・自分の能力の限界を認めること
   ・諦める勇気を持つこと
 ということ。

 いい意味で頑張りすぎないということ。「できない」とはっきり言うこと。「できない」ことを納得してもらうこと。「やりすぎない」を心がけること。

 もう30代の半ばになり、体力勝負という話でもなくなって来ている(年齢にも、ご時世的にも)。「頑張る」よりかは「諦める」ほうがはるかに大事なんだろう。

 「頑張る」と「諦める」なら、選択肢としては「頑張る」の方が圧倒的に選びやすくて簡単だ。何しろ時間とパワーを割けばなんとかなるのだから。一方で、「諦める」を選ぶには、精神的なハードルが高いし、周囲にそれ認めさせるのは難しい。

 でも、そうしないと自分の時間を失い、健康も損なってしまう。いいことはない。いい意味で「諦める」ということを意識しないといけないのだろう。今回、メンタルヘルス不調という痛い目にあってそれを痛感した。これを意識すべきなんだろうな。

 「乗り越えた経験が今後のプラスになる」という考えは大事だとは思う。だが、「ココまでが自分の限界」と知り、「限界を超えない範囲で適度に取り組む」ことも同じくらい大事なんだろうなと思う。無理したっていいことなんてないんだ。

 諦めても、折れてしまっても案外後悔はしないもんだ。今回それを経験して、ホッとした自分がいる。頑張りきれなくても後悔しないことがわかったのはすごく大きい。

 これからはいい意味で「諦める」。

 「諦める」ことを頑張ろう。