自分の働き方を棚卸ししてみるぞ

 世の中の流れからか、働き方改革、生産性向上、ワークライフバランスといった言葉を非常によく聞く。ニュースや新聞でもそれらのキーワードを見ない日はないし、働き方改革法案なんてのホットな話題だ。

 私のいる会社も例外ではなく、事業部のキックオフなどでお偉いさんが話す時にも、業績の話だけでなく、働き方というテーマも必ずといっていいほど話題に上がる。上司との面談でも話題に上がる。どうやら、全てに全力でがむしゃらに働くというよりかは、もっとスマートに働くことを求められているようだ。

 そういう話はたいてい、「じゃあ、どうやって?」という話までは出てこないので、いつもモヤっとするのだが、言っていること自体は正しいとは思うし、「じゃあ、おまえはどういう考えを持って働いているんだ?」と言われたときに、ちゃんと答えられるようなものは持てていない。なので、今までの自分の働き方、働くことに対する考え方について、これを機に整理してみたいと思う。

 そこからうまく改善するところが見えればいいなと思ったり、未来の自分がこれを見て、何かひらめくこともあるかもしれないし。


■ 仕事とは
 そもそもの仕事というところから遡るが、規模の大小に関わらず企業の目的は金を稼ぐことである。金を稼ぐために企業独自のモノ(価値)を産み出す。企業で生み出したモノ(価値)を金に変えて、その金を元に別なモノ(他者の生み出す価値)を買い、それを繰り返して経済が循環して世の中が発展して行く。

 企業に属する個人としては、そのモノ(価値)を生み出すことが仕事である。もう少し言うと、自分を資本にして、何か価値のあるモノを生み出す作業が仕事である。自分の資本とはざっくりいうと、自分の能力と、そこにかける時間だろう。

 たぶんこんな数式。

   生み出すモノ(成果)= かけた時間 × その人の能力

 ここの「能力」を世の中では「生産性」と言ったりするのかな。


■ 働く理由
 今のところは、下記。

1.金を稼ぐため
 お金は大事。身も蓋もない言い方にはなるが、世の中の大抵の困ったことはお金で解決できるし、世の中の悪い出来事もお金が原因で起こったりする。そして何より、何かしようと思った時に、お金がないから無理という回答をするのは、カッコ悪くてイヤだ。

2.人生を楽しむため
 これは仕事自体を楽しむということと、仕事を通じて得られたスキルや知識によって、仕事以外の時間がより楽しくなるという意味を込めている。
 人生の中で、仕事が占める割合は大きい。今の私は少なくとも1年の30%の時間を仕事に費やしている。これは以前、自分の時間の使い方を振り返って気づいたこと。

shoumatch.hatenablog.com この時間を楽しまないということは、今の私の人生の30%は楽しくない時間で構成されているということになる。そんな人生は楽しくないし、そんな人間は魅力的でもないよね。
 また仕事を通じて得られた知見で、趣味の世界が広がったり、社会のことがわかったりすることも多い。そういう仕事以外の世界が広がるのも楽しい。


■ 仕事内容の分類と関わり方
 仕事とは、先にも挙げたけど、自分を資本にして、何か価値のあるモノ(成果)を生み出す作業である。

 ただし、自分の持っている労働時間の100%を、自分の成果のための時間に費やせるわけではない。成果につながらないような事務作業もしないといけないし、他者を助ける作業も必要である。

ざっくり仕事の内容を分類すると以下のようになると思う。

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 自分の仕事は、自分が担当となっている作業。他者のための仕事は、自分の担当ではないけれど、チームや組織として動く上で手伝う必要のある他者の仕事。

 この中で、自分の成果となるのはⅠ象限(自分の仕事×成果につながる)とⅡ象限(他者の仕事×成果につながる)の作業。ただし、Ⅱ象限(他者の仕事×成果につながる)は、成果のメインは他者なので、成果の割合としてはとても小さいと思う。おまけ程度だろう。

 とはいえ、どの象限の作業もやらないといけない作業なわけで、だからこそ、それぞれの作業をどう関わるかが大事になってくるはず。

それぞれの関わり方についてまとめる。

Ⅲ象限(成果にならないような作業)の作業
 チーム内の管理とか、物品購入とか、勤怠登録とか、組織内活動とか、とかとか。これは、どんだけパワーをかけても成果にはならないので、可能な限り時間をゼロにして、最小限の時間と労力でできるようにする。

 方針としては以下の順。
1.外部にアウトソースして、自分はやらないようにする。
2.自動化して最小限の労力で済むようにする。
3.作業の隙間時間にやる(休憩がてらにやるとか)。
4.事務作業をためておき、時間の空いた時に一気に片付ける。

 もし、3か4になるならば、こういう事務作業は伝統的な方法でやっているものも多く、よく考えると、やらなくても良かったり、やり方を変えて効率化できる作業も、実は結構あるので、その作業の必要性を見直すというのも手かもしれない。

 そして、もしやるとするなら、「手を抜かずにやる」は絶対。その仕事を見ている人(先輩や上司)はいるわけで、成果にはならないけど、信頼にはつながる。そこを中途半端にやっていると、絶対に信頼なんかされない。そして、そういう作業を中途半端にしてしまう人間が、他の作業をちゃんとできるはずがない。自分のためにも、周りのためにも、やるからには手を抜かずにやる。

Ⅱ象限(他者のための仕事 × 成果につながる仕事)
 メインは打ち合わせとか、メールやチャットなどのコミュニケーションだと思う。コミュニケーションは手を抜いてはいけないところ。

 コミュニケーションで一番気をつけることは、意識齟齬を起こさないこと。中途半端に手を抜いて、意識齟齬が起きて手戻るよりも、先に時間をかけて手戻りなく進めたほうが、結果的に早く終わらせることができるし、精神的にも楽というのが私の経験上の意見。

 なので、めんどくさいんだけど、時間をかけてでも、わかりやすく、内容を整理した上で、相手とコミュニケーションを取る。とにかく意識齟齬を発生させないようにする。

 気をつけるのは下記。
・コミュニケーションは、「対面で会話 > 電話で会話 > 文章でのやり取り」の順で相手に伝わりやすい。ただし、自分が思っている以上に、相手には伝わっていないものなので、どの場合でも、わかりやすさは常に意識する。てきとーにしない。
・打ち合わせの場合は、事前に資料を見ておき、自分の意見をメモした上で臨む。終わったあとは結果を文字で整理して、その内容を相手と確認する。
・メールなどの文章でやり取りする場合は、主語や述語などを省略しない。

 他者の成果物を巻き取って作成するというのも出てくると思う。上位の人の仕事ならは、積極的に取るところだと思うけど、そうでないなら、チーム運営上困ることがない限りは、無理して巻き取らない。ケースバイケースな気もするけど、手が空いているならやる程度。

 他者へのレクチャーの際は、レクチャー内容を、箇条書きレベルでもいいので資料を作っておき、それを元にレクチャーする。なぜなら、資料があるのとないのとでは、相手のその後の理解度が全然違うからだ(私の経験的な話)。そして、しばしばそのレクチャーは、別な機会に別な人に対してもすることがあるので、その時の準備コスト削減にもつながる。

 ま、つまりは、他者が介す作業をする時は、何かしらでメモを作っておき、残しておくことが大事ということ。

Ⅰ象限(自分の仕事 × 成果につながる仕事)
 お話としてはここがメイン。自分の成果物を作るために、自分の持っている「時間」も「能力」をガッツし注ぎ込む必要がある。

 まず「時間」の話。時間は有限で、かつ昨今の世の中、残業もしない流れになっている。労働時間を増やすという考えはしない前提で、できることは下記くらいだと思う。
 1.Ⅱ象限とⅢ象限に割り当てる時間を減らして、Ⅰ象限の作業時間を増やす
 2.Ⅰ象限を行う作業時間を固めて、作業時間の密度を上げる。
  (例えば、30分×4セットよりも、2時間×1セットの方が捗る)
 3.優先度の高い作業、パワーのいる作業は集中して取り組める時間帯で行う。
  (いわゆる朝とか)

 これらは、意識ひとつで変えられるものだと思うので、すぐに活かせる内容であるとは思う。

 次に「能力」の話。「能力」が上がると、成果物を作るスピードが上がり、同じ労働時間ならば、能力があった方が成果は大きくなる。仕事をする上で必要な能力としては下記を挙げる。
 1.スキル/知識
 2.慣れ (職場環境、作業環境、とか)
 3.思考法 (思考のフレームワーク
 4.仕事術 (仕事を効率的に進めるためのハウツー)

 ☆「1.スキル/知識」:
 知識やスキルが必要な仕事は、仕事を通じて覚えたり、勉強したりで身に付けないといけない。なので、初めは仕事をするのに時間がかかる。作業スピードは、知識やスキルが身につくと共に上がっていき、ある一定のところで頭打ちになる。

 誰でも時間をかければ(時間をかけて勉強すれば)、知識やスキルはついてくるものだと思う。そこで鍵となるのは、知識やスキルを吸収する早さだと思う。

 当然、吸収が早い方がいいだろう。じゃあ、どうやって吸収速度(成長速度)を上げるのかというと、・・・これはちょっとぼんやりしている。恐らくは、勉強量、勉強時間、あとは、関連する知識量とか、理解力とか、地頭力というような頭の総合力になるのかな。

 イメージはこんな感じ。結局、吸収速度を高めるためには、常日頃から頭を使って考える習慣を身につけるレベルのことしか言えないかなぁ。

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 ☆「2.慣れ具合 (職場環境、作業環境、とか)」:
 その職場独特の環境、PC環境とか。これは基本的には、慣れればいいだけで、時間が解決してくれるもの。慣れるまで頑張りましょうってくらい。


 ☆「3.思考法 (思考のフレームワーク)」
 思考のフレームワーク。メソッドを知っていることと、それを実戦で使いこなせることは別の話。一般的に、思考習慣は身につくまでに半年かかると言われている。実戦(仕事)で半年間、意識して使い続けられれば、自分の能力としてカウントできるのだと考える。

 つまりは、学んで、意識して、半年くらい頑張る!!

 今の私としては、MECE5W1H、なぜなぜ分析、仮説検証、パレード分析、IPOメソッドあたりは自分の能力として持っていると思う。

 ☆「4.仕事術 (仕事を効率的に進めるためのハウツー)」:
 以下のことが、今の私の仕事術かなぁ。細かなところは、多分下記のどこかに属するとはず。
 ・とりあえずメモる。
  (すぐに忘れちゃうから、何かしらにメモを残しておく。
  半年後の自分が見返した時にでも、思い出せるくらいの粒度で書く)
 ・コミュニケーションには気をつける(とにかく意識齟齬を防ぐ)
 ・何かしらの意見を持つ
  (仕事の主導権を握るには、自分の意見を持つことが必須)
 ・目的は何かを問う(結局何がしたいの?何に困っているの?)
 ・見通しを立てる(現状、目指すところ、クリアすべき課題の認識)
 ・戦略を立てる(作業の進め方。自力で進めるか、他者を巻き込むか)
 ・これらを認識する
  (目的意識、見通し、戦略が正しい方向に向いているか認識する。
  どの作業をどれくらいの重要度でどのくらいの時間をかけているかを
  認識する。)

 つまりはちゃんと計画を立ててやる、振り返って適度に方向修正するってところかな。

 なお、「3.思考法 (思考のフレームワーク)」と「4.仕事術 (仕事を効率的に進めるためのハウツー)」は、何か困ったことに遭遇したり、新たな環境の中で、新しいことを試した結果、身につくものであると思う。なので、同じ環境の中で、同じことを繰り返している状況下では、身につかないものだと思う。身に付けたければ、環境を変えるなり、適度に困った事態にならないといけないと思う。

 ここで上げた「能力」の4つは、ポータブルに活用できる能力もあれば、そうでない能力もあり、とある環境では通用したとしても、別の環境では通用しないものもあると思う。

 なので、その環境で、これらの「能力」について慣れたと感じれば、また新しい環境に移って、また新たに能力を積み上げて行った方が、どこでも通用する能力が得られると共に、環境の変え先の選択肢が広がる分、楽しさも増すと思う。

 そして、今の自分が、この環境において、能力的に慣れたのか、慣れていないのか、環境の替え時なのか、そうでないのか、常にとは言わないが、定期的に振り返るような営みは必要だと思う。

 コミュニケーションについては、「Ⅱ象限(他者のための仕事 × 成果につながる仕事)」で書いた内容と同じ。ただ、自分が主催する/発信する場合は、参加者を限定して、他人の時間を無駄に奪わないということと、資料を事前に用意すること(何を決めたくて、参加者に何をして欲しいのかを資料に書いておく)を心がける。
 
 これまでの話をまとめると、こんな感じ。

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 ここまで書いて、改めて上から読んでみると、まぁ、どの本にも書いてあるような、当たり前のことしか書いていないんだよなぁ。とはいえ、そういう当たり前のことをしっかりやっていくことが大事なんだし、できてないから良くない働き方になるんだろうな。

数年後にこの記事を見直して、改めて振り返ってみたい。
その時の自分は、どういう考えを持っているんだろう。

そんなGW最終日。